戦争特集 編集後記

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戦争というと、どこか遠い国の出来事のように感じる人も多いだろう。約80年前の日本は戦争をしていたが、現代において当時の痕跡を身近に感じることは少ない。11月号では、戦争の記憶継承という観点から特集を組んだ。

成蹊学園は吉祥寺に移転して今年で100年を迎えた。その100年の歴史の中の、重要な出来事の1つに、第二次世界大戦がある。普段から学生がよく利用しているトラスコンガーデンは、当時の岩崎理事長が戦時下でも学生の勉強時間を確保するために設置した工場だった。戦争により本学はさまざまな変化を強いられたが、本学の位置する武蔵野市もまた大きな被害を受けた。B29による日本本土空襲の最初の目標は、武蔵野市にあった中島飛行機武蔵製作所だった。その経験から同市は独自の平和の日を定め、市民協働で戦争の記憶の保全と継承のために活動をしている。記憶の保全と継承を実現させるためには、私たちの世代が力を合わせることが必要不可欠だ。KNOW NUKES TOKYOでは、若者が中心となって核廃絶を目指す活動を行っている。戦争に関心を持つ人が少ないと言われる私たち若者も、学校教育を通じて第二次世界大戦や核についての知識を持っているはずだ。若者が戦争へ無関心であるという見解もある一方で、戦争への関心や戦争に感じる恐怖を表現する方法が少ないという中村さんの考え方は、私たち若者自身にも新たな視点をもたらしてくれる。

日本は憲法で戦争を放棄し、平和ボケが行き過ぎていると言われることもある。しかし戦争を遠くに感じることができるのは戦後、先を生きた日本人たちが平和のために闘ったからに他ならない。その軌跡を次世代に残していくことこそが私たちに託された使命なのではないだろうか。

(永松由衣)

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