大学生であれば誰もが直面する「就職活動(以下、就活 )」。秋口は就活に向けた準備期間とされ、漠然とした不安に駆られる本学学生も多い。そんな就活を乗り越え、社会で活躍する本学の先輩方にインタビューし、就活の極意を教わる「成蹊大学OBOGファイル」。第2回では、佐鳥電機株式会社社長佐鳥浩之さんにお話を伺った。
佐鳥電機は半導体・電子部品・電子機器および設備関連機器の取り扱いをはじめとして、各種機器向けの組み込みソフトウェアの開発、各種システムの設計・制作に至るまで幅広い分野を手がけるエレクトロニクス商社だ。東京都港区に本社を置き、国内外にグループ会社を持っている。佐鳥電機は1947 年に創業者である佐鳥仁左さんによって設立された。佐鳥仁左さんは、戦前は住友財閥に勤めていたが、戦後の財閥解体を受けて住友電気工業株式会社および日本電気株式会社(以下、NEC)の特約店として佐鳥電機を創業した。その後、佐鳥康郎さん、植田一敏さんが社長を歴任し、現在は佐鳥浩之さんが社長を務めている。直近では、オランダの半導体設計会社の株式を取得し子会社化するなど、グローバルネットワークの展開にも積極的だ。

佐鳥さんは「会社を継ぐつもりはなかった」と語る。元々、1989 年に本学経済学部を卒業し、NEC に営業職として就職した。当時、日本の半導体分野の成長は目覚ましく、その最先端を走る NEC での営業は大いに挑戦しがいのある業務だった。そのため、毎日胸を躍らせながら仕事に励んでいたという。ある日、転機が訪れる。父・康郎さんと食事に行った際「会社に入ってほしい」と告げられた。普段厳格な父のその一言をきっかけに、育ててもらった恩返しをしたいという思いを抱き NEC を退職し、佐鳥電機に就職したという。就職してからも同期に社長候補は多くいたことや、親への恩返しの気持ちで入社したことなどから社長職への執着はなかったと語る。しかし、リーマンショックや東日本大震災の影響で円高になり産業が変化した。この一大事を乗り切るために、自ら舵を取るべく 2013 年に社長に就任した。
成蹊大生に意識してほしいこととして、「勉強やバイトと同じくらい人との付き合いを大切にすること」を挙げた。人付き合いでしか得られない「気遣い」が就活の際に他者と一線を画す強みとなる。また、失敗を恐れずに何事にもチャレンジしてほしいと話す。300 万社以上ある株式会社の中で、東証プライムに上場している会社の社長というのはなりたくてもなれるものではない。「そのチャンスに飛び込んでいけたからこそ今の自分がある。だからこそ与えられたチャンスをつかみ、何事にもチャレンジしていってほしい」と熱く語った。
(永松由衣)

〈佐鳥電機株式会社〉
本社:東京都港区芝一丁目 14 番 10 号
資本金:26 億 1100 万円
(2023 年5月 31 日時点)
公式 HP:https://www.satori.co.jp/
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