
日本は来年で終戦から80年を迎え、改めて戦争について考える節目の年となる。私たち学生は、戦争にどのように関心を持ち、向き合えば良いのだろうか。そこで、高校時代から核問題に取り組み続けているKNOW NUKES TOKYO代表の中村涼香さんにお話を伺った。
同団体は2021年に中村さんたちによって設立され、主に戦争や核に関するイベントを開催している。最近では、AR映像やアートを用いることで核の脅威を若者に伝える「あたらしいげんばく展」を主催するなど、今までとは違った新たな取り組みにも挑戦している。
近年、若者の戦争に対する関心の低下が懸念されている。しかし、現代の若者は戦争に関心がないのではなく、関心を持っていると発信する機会が少ないと中村さんは考えている。若者なりの意思表示の仕方や、関心の示し方を増やしていきたいという。また、完璧に理解し確実に正しい知識を持ち合わせていない限り「戦争反対」と発してはいけない、という風潮の存在を中村さんは指摘する。情報を精査し、知識をつけることは重要だ。しかし、知識がなければ戦争について訴えてはいけないわけではない。「人が傷つくのは嫌だという純粋な拒否感を声に出せるような社会になってほしい」と中村さんは語る。
活動継続にあたって戦争を経験した方々の高齢化も大きな課題だ。今までは戦争経験者の方々を中心に、ボランティア活動として戦争への問題意識を喚起してきた。だが、時が経つにつれ戦争経験者の数は減少し、戦争の脅威を伝えていく持続的な活動が難しくなっている。若者による活動も学生ボランティアのため、就職を機に活動を離れざるを得ない人が多い。また現在の活動資金はクラウドファンディングや寄付金が主となっている。平和活動は仕事にすることが困難だ。その問題を抱えつつも、中村さんは起業を目指し活動を続けている。

痛ましい過去から目を背けたくなることもある。それでも、誰もが戦争に対して自分の意見を持っているはずだ。だからこの記事をきっかけに知ってほしい。私たち日本の若者に、戦争に向き合いながら日々を過ごしている人がいることを。戦争は過去のものではなく、現在もつながり続ける課題だ。まずは一言、自分の意見を発する勇気を持つことが大切なのではないだろうか。
(木村陽南詩)
コメント