「難波津に 咲くやこの花 冬ごもり 今を春べと 咲くやこの花」この和歌の朗詠で試合を開始する競技が小倉百人一首競技かるただ。競技かるたは文化的な側面を持ちながら、瞬発力と集中力を競うスポーツとしての一面も持っている。伝統と競技性が交わる、世界でも類を見ない珍しい競技だ。
かるた競技のルールは当初、地域によってさまざまだった。それが明治37年に競技かるたとして統一され、以来120年以上の歴史を刻んできた。(一社)全日本かるた協会の鶴谷博幸副会長と遠藤健一専務理事は同競技最大の魅力を、老若男女誰もが対等な条件で勝負できることにあると語る。また競技としての面白さはもちろん、札を払う爽快感は唯一無二の魅力のようだ。
同協会の主な活動内容は、かるた大会の運営・広報と百人一首の普及活動である。「魅せるかるた」を標榜して大会の解説動画をYouTube上で公開するなど、競技かるたの認知度向上に取り組んでいる。今年4月には全日本選手権大会と併せて、愛知県豊田市で体験イベントが開催された。実際にかるたに触れる機会は興味を持つきっかけとなり、参加者からは好評を博した。
近年は競技そのものへの関心は高まっている。しかし現在、競技かるたにはプロが存在しない。タイトル保持者すら、競技かるたが職業ではない。プロ制度が確立されている競技に比べ、理解者や強力なパートナーが少ないのが現状だ。同協会としては、競技かるたの認知度向上と普及・振興が先決と考えて取り組んでいる。多くの人が楽しむことができ、独自の魅力を持つ競技かるた。長い歴史の先にさらなる発展を期待したい。
(木村陽南詩)



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