先日、カメラのデータを整理していたところ、滋賀県近江八幡市の祭りの写真を見つけた。撮影日は、新型コロナウイルス感染症の流行が本格化する以前のものだった。ユニークな山車を引く地元住民の顔にはマスクがなく、笑顔溢れる様子が写っている。調べてみると、昨年の祭りは中止となり、今年は規模を縮小する形で開催されたようだ。
6月10日、日本政府は新型コロナウイルス感染症の水際対策を緩和。添乗員付きパッケージツアー客に限定する形で、外国人観光客の受け入れを再開した。観光を目的とした外国人の入国が認められるのは、実に2年ぶりとなる。しかし、受け入れを完全に再開してもコロナ禍前の状況に戻るわけではない。観光庁は引き続きガイドラインを通じて、マスクの着用、手指消毒、3密の回避などといった基本的な感染防止対策の徹底を求めている。
観光庁が今年4月に発表した旅行・観光消費動向調査によると、日本人国内旅行消費額は2019年には21.9兆円を記録していたが、新型コロナウイルス感染症の影響で2021年には9.2兆円に減少したという。受け入れ再開によって、この2年以上苦境に立たされてきた観光業界の回復が期待される。
コロナ禍を経て、日本を含む世界各国の情勢が大きく変化する中、観光業界は長期間の停滞を強いられた。しかし、それは永続的なものではない。2年ぶりの訪日観光客の受け入れが観光産業に何をもたらすのか。コロナ禍前のように、国内外を問わず自由な行き来が可能になる日が来ることを望む。
(増地未央)
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