馬と人間は古くから深い関係を築いてきた。そこで、今回は『感動競馬場 本当にあった馬いい話』より、「引退馬の聖母たち」という話を紹介する。この話は、引退馬を守る人々の姿を描いたものである。
勝ちきれないことがありつつも愛されていたナイスネイチャは、引退後の種牡馬生活も終え、余生を”養老牧場”と呼ばれる場所で過ごしていた。この牧場では、一口馬主のシステムを参考とした、フォスターペアレント制度を利用している。これはファンが馬一頭へ共同出資をすることで、引退馬の生活を支える制度だ。当時は引退馬に出資が集まるのか不安の声もあったが、ネットを通じて支持が寄せられた。
本制度を考えたのはNPO法人引退馬協会の代表を務める沼田恭子さんだ。さらに沼田さんと同じように引退馬を世話し、未来を案じていた渡辺牧場の渡辺はるみさんが沼田さんと連携したことにより、支援の輪はますます広がった。
2人の引退馬の聖母たちの尽力によって、同制度はスタンダードとなった。競走馬時代に活躍して引退した馬の老後と、彼らの幸せな生活を支援する環境や制度が、社会の中で今後も大切に守られていくことを願うばかりである。
(長谷川真由)
《参考文献》感動競馬場 本当にあった馬いい話(村上卓史著、イースト・プレス2016年)



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