2021年7月号 並木道

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私たちは生活において少なからず他人の目を気にする。コロナ禍で「皆が着けているからマスクをする」という人も多くいるだろう。社会は人と人との結び付きで成り立っている。自分の意思でさえ、周囲の環境の影響を受けていることがある。

新型コロナウイルスワクチンの接種が進み、高齢者への接種は7月中にはほぼ全ての自治体で完了する見通しだ。コロナ禍収束への希望も持てるが、ワクチン接種のリスクが頭をよぎる人は多いだろう。Googleで「コロナワクチン」と入力すると「副反応」「安全性」と検索予測が表示される。

1976年まで一部疾病の予防接種は罰則規定のある義務だった。その後、感染症患者の減少や副反応をはじめとする健康被害から、段階的に規定が緩和され現在に至る。今回の新型コロナウイルスワクチンの接種は義務ではなく、国民が自分自身で打つ、打たないを選択できる。ワクチン接種は日常を取り戻すための効果的な方法の一つだ。一方、今後交通機関の利用や対面授業への参加、会社への出勤に「接種歴」の提示を求められる可能性も否定できない。自分の意志に関係なくワクチンを打たざるを得ない人も出てくるだろう。

社会が人と人との相互関係の上に成り立っているとはいえ、個人の意思を優先する自由もある。ワクチン接種を行うか否かにかかわらず、自分の意思で決断することに意味がある。信頼性のある情報か、自分の判断にバイアスがかかっていないか、この機会に主体的に考えることを習慣にしたい。

(大原将世)

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